『東芝 終わりなき危機 「名門」没落の代償』という書籍が発売されました。

「東芝 終わりなき危機「名門」没落の代償」(著 今沢 真)という書籍が,毎日新聞出版社から発売されています。

この書籍の趣旨を一言でいえば,

「東芝は,今でも不正会計の原因となった原子力部門の問題を解決できておらず,社員の関係者に対する懲罰も極めて軽い。経営改革も,形だけととのえたようなものであって,本当に経営改革をしようとする意思に乏しい。これらを考えると,東芝が,これから,本当に再生できるのかは,きわめて疑問である」

ということになります。

私たち東芝事件株主弁護団は,東芝には,株主へのつぐないを十分にしてもらった上で,きちんと再生してほしいという立場です。

ですので,東芝には再生をしてほしいと願っています。

ただ,「再生」をするためには,前非をきちんと悔いて,心を入れ替えるということが必要です。

そのために,東芝は,第三者委員会を開いて,多額の必要をかけて総括をしたはずなのですが,そもそも第三者委員会の追及が「きわめて手ぬるい」ものであり,そういうこともあって,過去の総括は,中途半端なものに終わってしまっているような気がします。

東芝にかぎらず,最近,日本の過去の名門企業が,次々と大きな不祥事を起こし,また,不祥事を隠蔽していたことが明るみに出て,市場から「NO」を突きつけられています。

これは,大きな視点からみれば,日本経済の主役が,過去の「名門」企業から新しい産業,新しいビジネスに転換しようとしていることの,投影なのかもしれません。

「東芝 粉飾の原点」日経BP社

「東芝 粉飾の原点」という書籍が,平成28年7月19日に日経BP社から出版されています。

日経BP社は,東芝,および関連会社の社員さんからの聞き取り調査をおこなっており,その人数は800人を超えるとのことです。

そのような豊富な「肉声」を紹介しながら,東芝の不正会計問題の「原因」を丁寧に掘り起こしていっている本です。

公開情報を,わかりやすく,かみ砕いて説明してくれていますので,東芝事件について,その全貌を理解したいという方にとっては,とても有益な情報源となると思います。

書籍のなかでは,私たちの東芝事件株主弁護団の活動にも,一部,触れてくれている部分があります。

東芝の不正会計事件は,発生から1年以上経過してもなお,世間の話題を呼んでいるようであり,東芝の不正会計事件について解説した書籍は,売れ行き好調のようです。

東芝の集団訴訟も,まだまだ,新しく裁判をおこないたいという方をお待ちしています。

ぜひ,資料請求や,説明会に参加してください。

平成28年6月20日 福岡での裁判の期日がありました。

平成28年6月20日,福岡での裁判が再開されました。

東芝側から,裁判を福岡から東京に移送してほしいという移送申立がされていましたので,一時中断していました。

福岡地裁は,移送申立を却下して,裁判を福岡で続行することに決定しました。

次回の福岡での裁判の期日は,平成28年8月29日午後4時となっています。

平成28年7月12日 東京地裁で裁判期日がありました。

平成28年7月12日午前11時に,東芝集団訴訟の東京地裁での裁判期日がありました。

今回,弁護団からは,東芝の元役員の具体的な注意義務違反行為について主張をおこないました。

次回には,東芝の元役員からの反論がされる予定となっています。

次回の東京地裁での裁判期日は,平成28年9月13日午前11時を予定しています。

平成28年7月6日 大阪地裁で裁判期日がありました。

平成28年7月6日,午後1時15分から,大阪地方裁判所の新館531号法廷にて,東芝集団訴訟事件の裁判の期日がありました。

今回は,弁護団から,東芝の元役員の具体的な注意義務違反行為を特定しました。

次回は,東芝の元役員からの反論がされる予定となっています。

次回の大阪地裁での裁判期日は,平成28年9月7日午後1時15分の予定です。

 

ニュース解説「東芝の不正会計は「違法」 監視委、異例の見解公表へ」

証券取引等監視委員会が、東芝の不正会計は違法であったという見解を公表する予定であるというニュース報道がありました。

予定通りに、証券取引等監視委員会が、そういう公表をするのであれば、東芝に対して損害賠償請求をおこなっている私たちにとっては、非常な追い風となります。

今回、証券取引等監視委員会が問題視しているのは、西田氏らが関与したとされている

buy-sell取引(バイ セル とりひき)

という取引です。

これは、東芝が、取引先に対して「来年に、この部品を買い戻すから、今年に買ってくれ」という条件で部品を売って、売上をあげる方法です。

たしかに、今期の売上は上がるわけですが、来期には買い戻さないといけませんから、来期には負担が増えることになります。こんな取引は、会社の健全な売上ではありませんから、無意味な取引です。

こういう取引手法は、ずっと以前から、問題の多い取引手法であるということで、企業会計の現場では、まともな売上ではない、と認識されていました。

ですので、証券取引等監視委員会が、今回の東芝の不正会計について「違法」だという判断をすることは、とても常識的な判断だと思います。

弁護団としては、事態を注意して観察しようと思います。

また、証券取引等監視委員会の判断が出ると、西田氏らに対する刑事責任の追及についても、進む可能性があります。

 

東芝の株主総会にてビラ配りをしました。

弁護団の弁護士は,平成28年6月22日におこなわれた,東芝の株主総会の会場の前で,ビラ配りをおこないました。

その様子は,日経ビジネスオンラインの東芝株主総会の特集記事でも紹介されました。

およそ,700部ほど,ビラを配ったと思います。

東芝の株主総会にこられるような,意識の高い株主の方に,弁護団の存在をアピールできたことは,とてもよいことだと思いました。

 

東芝の株主総会に合わせた被害者説明会

東芝事件株主弁護団は、東芝の株主総会の日である、6月22日に合わせて、被害者説明会をおこないます。

東芝の株主総会は、例年、午前10時ころからはじまって、午後2時ころまでには終了します。

ですので、弁護団は、その後、午後5時から、東京都内で被害者説明会をおこないます。

東芝の株主総会に出席された方も、ご自宅に帰る前に、おたちよりいただければ、さいわいです。

説明会は、無料でおこなっていますので、どうぞ、お立ち寄りください。

よろしくお願いします。

 

東芝粉飾決算「アメリカでの集団訴訟が棄却された」という報道について

東芝の粉飾決算による損害賠償請求について,アメリカのカリフォルニア州で起こされていた集団訴訟が棄却された,という報道がありました。

 

この点について,若干,解説したいと思います。

 

アメリカでの東芝に対する集団訴訟は,いくつかのグループに別れて起こされています。

ひとつのグループは,東芝の「米国預託証券」というものをアメリカで買っていたグループです。

「米国預託証券」は,株式そのものではなく,「株式を銀行が預かっているという証明書」の売買です。

アメリカの証券取引所に外国籍の企業が上場したい場合には,こういう「米国預託証券」制度を使うことが多いのです。

「米国預託証券」を買っているのは,アメリカ国内の個人株主が多いようです。

 

「米国預託証券」は,株式と同様に証券取引所で売買できますから,株式と同じ値動きをします。

ですので,東芝の不正会計問題によって,「米国預託証券」も証券取引所での価値を大きく下げました。

そのため,アメリカ国内の投資家が東芝に対して損害賠償請求を起こしているようです。

 

別のグループは,東京証券取引所で東芝株を買っていたアメリカの投資ファンド系のグループです。

投資ファンドは,数百億円というお金を動かしますので,発行している株式数が多いこと(流動性があること)を必要とします。

先に紹介した「米国預託証券」は,流通している絶対量が少ないため,投資ファンドが投資するには不向きです。

ですので,投資ファンドが東芝に投資したい場合には,アメリカではなく,東京証券取引所で直接東芝の株式を買うことが多いのです。

こちらは,買っていた株は,私たちと同じ東芝の現物株ですが,アメリカで裁判を起こした方が有利であるため,アメリカで裁判を起こしています。

 

「米国預託証券」をアメリカで買っていたグループについて

「米国預託証券」をアメリカで買っていたグループについては,「米国預託証券」を売買していたことについて,アメリカの証券取引法などの適用があるのかどうか,という点が法律上の争点となっていたようです。

(本当にどういう争点であったのかについては,詳しい情報がないため,新聞で報道されているかぎりの事実を前提としていますが)

アメリカの証券取引法は,上場会社の不正に対しては,大変に厳しいため,法律の適用があれば,被害者にとっては有利です。

この点について,今回,「米国預託証券」についてアメリカの証券取引法の適用がない,という判断がされたという報道がされているようです。

ただ,株式そのものではないとしても,アメリカの証券取引所で売買をされていた「米国預託証券」に,証券取引法などの適用がない,というのは,どうも奇妙な結論のようにも思えます。

それだと,「米国預託証券」を買った人が全く保護されないということになります。

そうなると,そんな危険な「米国預託証券」を誰も買わなくなります。

証券取引所としても,そういう結論は困るのではないでしょうか?

この点については,被害者側も,より上級の裁判所に不服の申立をするという話のようですので,引き続き,争いはつづくようです。

報道されているとおりだとすれば,上級審で判断が変更される可能性もありますので,今回の判断が最終的なものでもないだろうと思います。

 

 

東京証券取引所で東芝株を買っていたアメリカの投資ファンド系のグループについて

 

他方で,カリフォルニアの裁判所には,東京証券取引所で東芝株を買っていたグループも集団訴訟を起こしています。

こちらの訴訟の場合には,「東芝に対して,アメリカで裁判を起こすことができるのかどうか」が法律上の争点となっているようです。

今回のように,不正会計をおこなった企業が日本に上場しており,その株式を買った投資家がアメリカに在籍している,という国際的な法律問題には,

日本で裁判を起こすべきなのか,アメリカで裁判を起こすべきなのか,それとも,日本とアメリカの両方で裁判を起こせるのか,という問題が発生します。

 

この領域の法律問題を

国際裁判管轄

といいます。

 

今回の件のような上場している企業の不正会計問題の場合には,

「どこの証券取引所に上場されている株式を買ったのか?」

を基準として国際裁判管轄を決めることが多いようです。

 

通説にしたがえば,東京証券取引所で直接東芝株を買っている場合には,管轄は日本,ということになる可能性があります。

ですので,カリフォルニアで起こしている裁判については,アメリカでは裁判を起こすことはできず,日本で裁判をするべきだ,という結論となる可能性があります。

 

もっとも,国際裁判管轄は,わりと,ルールにあいまいなところがあり,判断もケースバイケースであったりするので,通説どおりにいくともかぎりません。

 

 

日本への影響は?

さて,そういうふうに,アメリカでの東芝に対する集団訴訟には,

  • アメリカの証券取引所に上場されている「米国預託証券」にアメリカの証券取引法が適用されるかどうか
  • 東京証券取引所で東芝株を買っていたアメリカの投資ファンドが,アメリカで裁判を起こせるのかどうか

 

という,日本での集団訴訟にはない,特殊な問題があります。

 

この点,日本での集団訴訟では,

  • みなさんが買ったのは東芝の株式であるため,日本での金融商品取引法が適用されることは当然であること。
  • 日本の事件であるので,日本に国際裁判管轄があることは当然であること

 

ということで,アメリカでの集団訴訟に特有の問題は発生しません。

ですので,今回のアメリカの裁判は,日本の裁判には影響はないと言えます。

日本の裁判には存在しない争点ですので。

「そもそも裁判を起こせるのか」

という争点が存在しない,という点では,今回の集団訴訟は,アメリカで起こすより,日本で起こした方が,裁判としては起こしやすい,ということは言えるでしょうか。