平成28年9月13日 東京訴訟に出廷しました。

平成28年9月13日 午前11時からの東京訴訟の裁判期日に出廷しました。

今回は、東芝、および、元役員から、有価証券報告書の虚偽記載に関しての、ある程度まとまった反論がされました。

弁護団としては、次回の期日において、しっかりとした反論をしていきたいと考えています。

次回の東京訴訟の日程は、11月8日 午前11時からとなっています。

平成28年9月7日 大阪訴訟の裁判期日に出廷しました。

弁護団は、平成28年9月7日午後1時15分の、大阪での集団訴訟の裁判期日に出廷しました。

この期日では、東芝、および、元役員から、ある程度、まとまった反論がなされました。

次回の期日では、弁護団が、これに対して、詳しい反論をする予定となっています。

次回の大阪訴訟は、10月28日午前11時の予定です。

よろしくお願いします。

「東芝、新日本監査法人を提訴せず 不正会計問題で」とのニュース解説

東芝が新日本監査法人を提訴しないことにした、というニュース報道がされています。

東芝は、今年の7月ころに、個人株主から
「東芝の不正会計事件の監査が不十分だったために、今回の不正会計事件が発生したのだから、当時の監査法人に、不正会計事件の損害賠償を請求しろ」
という提訴請求通知を受けていました。

この提訴請求通知を受けると、会社法では、60日以内に、
請求通りに提訴するか
提訴しないか
を決定しないといけなくなります。

ですので、今回の報道は、東芝は監査法人を提訴しない、という選択をしました、ということを公表したということです。

なお、今回の東芝の公表資料はこちらから確認できます。

東芝自身の公表資料によれば、
「本件は当社の元経営トップらの関与等に基づき不適切会計が行われたものであり、本件不適切会計処理の一時的責任は当社にあることは否定できません」と言っています。

なるほど、東芝としては、不正会計の責任が自社にあることを、公の場で認めたのですから、今回の訴訟でも、きちんと自社の責任を認めてほしいものです。

東芝のような、立派な会社が、まさか、マスコミの前では自社の責任を認めるが、裁判の場では責任を認めない、というような、
二枚舌
のような対応は、なさらないものと期待しています。

今回、「東芝が監査法人を訴えない」という報道により、東芝が、不正会計の責任は自社にある、というコメントを引き出すことができたことは、集団訴訟の原告にとっては、有利な展開になったと考えています。

「東芝,内部管理体制確認書を東証,名証に提出」とのニュースについて

東芝が,内部管理体制確認書を東京証券取引所などに提出した,という報道がされています。

もともと,東芝は,2015年9月に,不正会計問題により,証券取引所から「特設注意市場銘柄」に指定されていました。

これは,1年間を観察期間として,その観察期間に,内部体制をきちんと建て直せば,上場を維持し,建て直しができなければ上場を廃止する,という手続でした。

特設注意市場銘柄に指定されている間は,言ってみれば「謹慎期間」のようなものです。

特設注意市場銘柄に指定されていると,株式の公募増資などはできませんので,資金繰りが厳しくなってしまいます。

そのため,東芝は,金融機関から,運転資金などのために巨額の借入れをおこなっていました。

しかし,金利負担も厳しいです。

東芝としては,なるべく早く,公募増資をおこなって,金利負担を軽減させたいはずです。

ですので,特設注意市場銘柄の指定の返上は,東芝にとって悲願といえるでしょう。

ただ,もし,東芝が,公募増資をおこないたいと思うのであれば,まずは,株主の信頼を取り戻すために,不正会計によって迷惑をかけた株主の方々に,損害を十分に賠償してからであろう,と思うところです。

 

 

三菱自動車の燃費偽装問題について

三菱自動車が,自社で製造した自動車の燃費を偽装していたことが発覚し,問題となっています。

 

この不祥事によって,三菱自動車の株価は,大きく下落しました。

 

将来の自動車の売上にも,当然,影響があると思われ,三菱自動車は存続できるかどうかの瀬戸際となっています。

 

この三菱自動車の事件ですが,

「株主は会社に対して損害賠償請求ができるのかどうか?」

「東芝の事件と,どう違うのか?」

という質問を,よく受けます。

 

一般の方からみれば,東芝の事件も,三菱自動車の事件も,あまり変わらないように見えるのかもしれません。

そこで,東芝の事件と三菱自動車の事件が,どのように違うのかを考えたいと思います。

 

1 有価証券報告書の虚偽記載なのかどうか

上場企業の不祥事であっても,有価証券報告書について,虚偽があったのかどうか,という点は,非常に大きい違いです。

 

有価証券報告書という書類は,上場企業が金融庁に対して提出し,提出した内容は,即時に公開される書類です。

証券取引所の株価は,有価証券報告書に書かれている業績によって,大きく動きますので,非常に重要な書類です。

 

有価証券報告書にウソを書くと,「金融商品取引法」という法律に違反することになるので,厳しい責任を負うことになります。

「金融商品取引法」というのは,昔は「証券取引法」という名前であった法律です。

 

ですので,有価証券報告書という非常に重要な書類にウソを書いたのかどうかは,大きな違いです。

 

東芝は,過去7年間という長い間,有価証券報告書にウソを書いてきました。

 

一方,三菱自動車は,有価証券報告書にはウソを書いていません。

 

この点は,大きな違いです。

 

なので,東芝は「金融商品取引法」違反ですが,三菱自動車は「金融商品取引法」には違反していない,ということになります。

 

2 役員個人の責任追及ができるかどうか?

東芝は,金融商品取引法に違反する行為がありましたので,有価証券報告書に虚偽の記載をしたときの役員の責任が問題とされています。

 

金融商品取引法では,役員は,有価証券報告書の虚偽について,かなり厳しく責任を負います。

弁護団も,役員の個人責任も,厳しく追及しているところです。

 

一方で,三菱自動車の役員の責任はあるのでしょうか?

 

これは,あるのかもしれません。

 

燃費というのは,自動車を選ぶときに,非常に重要な要素となります。

そういう重要な要素について,役員は,きちんと管理する責任があるでしょう。

 

燃費の偽装を「知っていたのか,知らなかったのか」という点について,役員は,「知らなかった」と言っているようです。

 

しかし,偽装を知っていたのか,知らなかったのか,ではなくて,燃費について,きちんと管理,監督する責任というものが,当然,役員にはあるはずです。

 

ですから,「役員としての管理,監督責任」は,あるようにも思います。

 

ただし,三菱自動車の事件については,金融商品取引法が適用されない(可能性が高い)のです。

 

したがって,もしも,株主が,三菱自動車の役員の責任を追及するのでしたら,役員に,どのような具体的な責任があったのか,ということをひとつひとつ証明していかないといけなくなります。

 

会社内部の資料というものは,通常,会社の中にしかありません。

ですので,外部の株主が,役員の具体的な責任を追及していく,ということは,かなり難しいところではありません。

 

以上をまとめますと,

 

東芝の事件→金融商品取引法があるので,役員個人の責任追及は,わりとやりやすい。

 

三菱自動車の事件→金融商品取引法が適用されない(と思われる)ので,役員個人の責任追及は,けっこう大変

ということになります。

 

年金基金が東芝に損害賠償を求めたことについての考察

報道によれば,年金基金が東芝に対して,損害賠償を請求する裁判を起こした,ということについては,以前にお伝えしたとおりです。

報道によれば,年金基金は東芝に対して119億円を請求しており,さらに,本来であれば200億円請求できるのだ,ということを主張しているとのことです。

報道記事は,こちらから

今回,考えたいのは,

年金基金が東芝に対して裁判を起こしたことが,私たち弁護団にとって,有利なことなのか,不利なことなのか,ということです。

結論としては,弁護団にとっては有利な展開になったと考えています。

1,有利な展開になったと考える理由その1

年金基金 (GPIF)は,年金を運用する団体であり,その運用資産規模は,129兆円とも言われています。

世界最大規模の資産規模をもつ投資団体です。

それだけ巨額の財産を運用しているわけですから,東芝に対して損害賠償を請求するときにも,よりすぐって優秀な弁護士に裁判をまかせることができるはずです。

時給4万円とか,時給6万円の弁護士に裁判をまかせることができるのです。

私たち弁護団の弁護士も,東芝の事件については,世界で最も研究していると自負はしています。

しかし,同時に,世の中には,私たち以外にも,優秀な弁護士も,頭の良い弁護士も大勢いる,ということを知っています。

そのことを考えるならば,世界最大の年金基金が裁判をまかせるような優秀な弁護士が,私たち弁護団と同じ立場で裁判をしてくれる,ということは,大変に心強いことなのです。

もちろん,私たち弁護団の裁判と,年金基金の裁判は,別の裁判ですから,直接に助け合うことはないのですが,年金基金が判決をとったのであれば,それは「判例」という形で世間に公表されることになります。

年金基金が,東芝に対して損害賠償を請求する立場で,有利な判決をとれば,それは,私たち弁護団の事件にも,有利な影響をおよぼしてくることになります。

したがって,年金基金が東芝を訴えたことは,私たち弁護団にとって有利に影響をおよぼしてくると考えています。

2,有利な展開になったと考える理由その2

年金基金は,半分公営の団体ですから,勝ち目のない裁判をおこなうことはありません。

年金基金が裁判をおこなったということは,「この裁判は勝つ見込みが高いと判断したから裁判をおこなった」ということです。

ということは,株主が東芝に対して損害賠償を請求することは,「勝つ見込みが高いですよ」ということを,年金基金が宣言しているのと同じことです。

私たち弁護団は,当初より一貫して,株主が東芝に対して損害賠償を請求することについて,「勝つ見込みが高い」ということを,申し上げてきました。

年金基金も,私たち弁護団と同じ意見を言ってくれている,ということです。

ですので,私たちも,安心して,この裁判をおこなっていくことができます。

時間はかかっても,「勝つ見込みが高い」のですから。

年金基金が東芝に追加の損害賠償訴訟を提起しました。

東芝からのIRによれば,年金基金からの損害賠償請求訴訟が,平成28年8月9日に東京地裁に提起されたそうです。

くわしくはこちら

今回の提訴金額は約119億円だということです。

かなり大型の訴訟です。

また,東芝は,今回,私たち弁護団が起こしたものも含めて,現在,国内で起こされている訴訟を公開しています。

その中の大半は,私たち弁護団の訴訟ですが,他に1名で起こしている方もいるようです。

たとえば,大阪地裁では1名で5600万円を請求している方がいます。

広島地方裁判所福山支部では1名で5700万円を請求している方がいます。

5000万円というような,大きな被害を受けている方の場合には,1名で裁判を起こしても,裁判費用を負担してもいいのかもしれませんね。

いずれにせよ,年金基金のような,公的な機関が,私たちと同じように,株主の権利として損害賠償請求をしてくれているのは,心強いことです。

私たちも,年金基金の訴訟活動に負けないくらいに,立派な訴訟活動をおこなっていきたいと思います。

 

 

 

東芝集団訴訟第三次訴訟提起をしました。

東芝事件株主弁護団は,東京,大阪,福岡,高松の4つの裁判所に,8月8日から8月10日にかけて,訴訟提起をしました(第三次提訴)。
 
全国の合計では,原告数67名,請求総額は,5億2856万874円となります。
 
東芝集団訴訟 第三次提訴
   原告数 請求金額
東京地裁 33 ¥57,288,203
大阪地裁 23 ¥443,560,474
福岡地裁 6 ¥19,226,402
高松地裁 5  ¥8,485,795
   合計        67 ¥528,560,874
 
 
全国の被害者のみなさまと,ちからを合わせて,今回の訴訟をがんばっていきたいと思います。
 
第一次訴訟から第三次訴訟までの合計では,
原告数454名
請求総額19億円
 
という,大きな集団訴訟となりました。
 
今からでも参加できますので,ふるって,ご参加ください。

高松地裁…移送申立を却下判断。株主側勝利。

東芝集団訴訟の,中国四国第一次訴訟については,東芝の元役員である,西田氏,佐々木氏,田中氏,村岡氏が,
「裁判を東京地裁に移送してほしい」
という移送申立をおこなっていました。
これに対して,弁護団からは,移送を却下してほしいという意見を出していました。

高松地方裁判所は,平成28年8月5日付にて,本件移送申立を却下し,中国四国第一次訴訟を,高松地方裁判所で継続して審理する決定を出しました。

つまり,移送については,株主側が,勝利した,ということです。

東芝の元役員側から出された移送申立を却下する判断は,福岡地裁の判断に引き続いて,今回が二回目ということになります。

このように,東芝集団訴訟では,現在のところ,弁護団側が,有利に訴訟を展開している,と言うことができるでしょう。

 

「独フォルクスワーゲン集団訴訟は米国方式で」ロイター2016年8月9日

ロイター社から,フォルクスワーゲン社の集団訴訟に関する報道がされています。

ドイツのフォルクスワーゲン社は,排ガス規制について不正をおこなっていた,ということで,世界規模での集団訴訟の対象とされています。

フォルクスワーゲン社の本社のあるドイツでは,現在,世界中から170個の訴訟が提起されているとのことです。

170個の訴訟を別々におこなうのは,大変ですので,ドイツの裁判所は
「アメリカ方式の集団訴訟の方式で裁判を進める」
という声明を発表したとのことです。

裁判所は,今回の170個の訴訟の中から,代表となる原告を指名し,その原告と,被告であるフォルクスワーゲン社との訴訟の解決をもって,モデルケースとする,ということを考えているようです。

そうすると,裁判所としても,他の原告としても,真剣に裁判をするのは,代表となるモデルケース一件だけとなり,そのモデルケースの裁判の結果を,他の原告に関する裁判にも適用する,ということになるようです。

なお,ドイツの訴訟法は,アメリカのような「クラス・アクション方式」は認めていません。

ですから,本当にアメリカと同じような,大胆な「クラス・アクション方式」をおこなうことは不可能です。

もっとも,ドイツの現行法の範囲内において,「クラス・アクション方式」の良いところを生かすやり方はできるでしょう。

日本の裁判所も,集団訴訟の審理においては,諸外国の良い点を学んで,簡易・迅速な裁判をおこなっていただければ,と思うところです。