東芝事件株主弁護団の発足にあたって(4)

粉飾決算の事件として、世間の注目を浴びた事件としては、ライブドア事件を外すことはできないと思います。

堀江貴文氏は、IT企業の若き指導者として、過激な言動で世間に物議をかもしていました。
「稼ぐが勝ち」というタイトルの書籍を出版し、「金を稼げば女にモテる」というような、かなり即物的な言動をされていました。

2004年、2005年当時は、ちょうど、時の小泉首相の「改革」路線であったこともあり、日本全体が、新しいことをやろうとする人に対して、寛容であったと思います。

ただ、思えば、小泉首相のもとでの「改革」のうち、あとで検証すると、「やらなければよかった」と評価されるものも多々あります。

法科大学院の設置をはじめとする「司法改革」も、そのひとつです。法科大学院は、設立当初から、「司法試験合格者3000人」「司法試験合格率7割」というような目標というか、スローガンが先行しており、「法科大学院は大丈夫か?」「法科大学院は、やばくないか?」と指摘する声が多かったと記憶しています。

ところが、冷静な反対の声を無視して「改革に反対するものは抵抗勢力だ」とでも言わんばかりに、あれよあれよ、と法科大学院が、雨後のタケノコのように、日本全国に、ニョキニョキと生えてきました。

特定の大学を取り上げることもないかとは思いますが、姫路獨協大学などは、今までの大学卒業生のうち司法試験合格者がゼロであったにもかかわらず、法科大学院の設置が許された、ということでい、まさに、「法科大学院バブル」の時代でした。

法科大学院は、まったく、我が国の司法界の暗黒の歴史のひとつですが、少し脱線が過ぎました。そういうふうに、新しいことにチャレンジするような人を社会が許容する雰囲気だったのが、2004年、2005年ころの、日本社会でした。

その時代の流れの中で、ライブドアの堀江氏は、あっという間に頭角をあらわし、時代の寵児となっていったのです。

堀江氏は、もともと、ライブドアの高い株価を利用して、他の企業を買収していました。ライブドア自体の事業は、それほど利益が出ていたわけではないのですが、ライブドアの株価が高ければ、現金ではなく、株で他の価値ある企業を買収することができます。そして、買収した企業が、きちんと利益を出せば、それにより、ライブドアも利益を出せるようになる、という構造です。ライブドアの株価さえ高くたもたれていれば、合理的な企業戦略であったとも言えるでしょう。

たしかに、堀江氏は、買収する企業の選択については天賦の才能があったと思います。堀江氏が買収していた企業は、消費者金融業、証券会社、弥生会計、など、きちんと現金を生み出していた企業でした。
とくに、ライブドアグループの利益の90%は消費者金融事業が生み出していたのです。堀江氏は「稼ぐが勝ち」という書籍も出していたくらいですので、きちんと現金を生み出す事業の大事さをちゃんと知っていたのです。

なお、このころに堀江氏が買収した企業の多くは、のちにライブドアが粉飾決算で大きな波乱に巻き込まれたあとも、それとは関係なく利益を上げ続けていたため、ライブドアは企業としては生きながらえることになります。堀江氏の企業を見る目の正しさは、のちに皮肉な形で証明されたということです。

堀江氏のそういう点は、理念が先行して稼ぎがついてこずに経営破綻していた多くのIT企業とは、一線を画するものであったと思います。

なお、「IT企業が高い株価を利用して、現金ではとうてい買収できないような大きな会社を買収する」という手法は、堀江氏の独創ではなく、その数年前のアメリカに模範がありました。

AOLは、アメリカのインターネット・プロバイダー事業などをおこなう会社でした。2000年ころというのは、アメリカでインターネット・バブルが盛り上がった時期でした。

インターネット・プロバイダー事業というのは、実際にはそれほど高い利益の出る商売ではないのですが、このころのアメリカ証券業界では、インターネットに関係していれば、なんでも高い株価がついたのです。

AOLは、自社の株価がもっとも高い時をねらって、タイム・ワーナーを買収しました。タイム・ワーナーは、有名な新聞紙のタイム、映画・エンターテイメントのワーナーが合併した会社です。

日本でいえば、日本経済新聞と東映を合わせたような会社でしょうか。

もしも、日本で、@ニフティが、日本経済新聞と東映を買収していたとしたら、当時の日本人は、
「インターネットは、そんなにすごいのか」
と、驚いたことでしょう。
それと同じくらい、AOLによるタイム・ワーナーの買収は、インパクトがありました。

 

東京での被害者説明会を行うこととしました。

平成27年9月5日の被害者説明会が、テレビ、新聞で、大きく報道されました。

関西では、関西テレビ、毎日放送がテレビのニュース番組で取り上げていただいたほか、

新聞では、日経新聞、読売新聞、毎日新聞、朝日新聞、産経新聞、中日新聞、その他、多くの新聞で取り上げていただきました。

新聞の紙面では、弁護団の事務局の連絡先も書いていただいたため、事務局では、朝から電話がひっきりなしにかかってきており、今日だけで、30本くらいの問い合わせの電話が鳴り続いていました。

通常、新聞報道では、弁護団の連絡先を書くことは、あまりないのです。

しかし、新聞で弁護団の連絡先を書いていただいたということは、今回の弁護団活動について、記者の方々が、好意的にとらえていただき、いわば、真面目な弁護団活動だと評価していただいたということだと考えています。

お電話をいただいたなかには、相当数、関東からの電話があり、

「なんで東京で説明会をやらないのか?」というお問い合わせが多かったのです。
やはり、東芝は本社が東京ということもあり、東京の方の注目度が高いなあと思いました。

説明会のときにお会いした記者の方々の話では、東京でも、東芝に対する損害賠償請求を考えている法律事務所が、2,3、あるという話を聞きましたが、実際に行動を起こしている事務所は、あまりないように思います。

関西の弁護士が東京で説明会をすることについて、関東の方には抵抗感がないのか?とも思いましたが、何人かにお話をお聞きしたところ、

「とくに問題は感じない」

ということでしたので、みなさんが、東京での説明会をお求めになるのであれば、ということで、東京で説明会をおこなうことにしました。

場所は、たまたま、当弁護団に好意をもっていただいた方の関係で、なんと、皇居にほど近い、丸の内の一等地を説明会の会場として使わせていただけることになりました。

帝国劇場ビルです。

帝国劇場ビルは、日比谷線、千代田線、有楽町線、都営三田線、など、丸の内を通る地下鉄の多くの駅と直結しているので、アクセスがすごく便利です。

http://xn--7rvn38bmne13z.com/kaijou/tokyo.html

10月3日午後1時半開始の予定にしていますので、よろしくおねがいします。

 

国内初の被害者説明会を開催しました。

平成27年9月5日土曜日,国内初の東芝に対する株主の損害賠償請求の被害者説明会をおこないました。毎日放送,関西テレビのニュース番組にて,取り上げられたほか,日経新聞,毎日新聞,読売新聞,朝日新聞,サンケイ新聞などの新聞で報道されています。

時間がたつごとに,さまざまなメディアにて,取り上げられており,やはり,国内初のこころみを実行したことについて,社会的な関心をよせられていることを実感しました。

今後は,神戸,京都,大阪,岡山,東京,というように,関西,関東を中心に,説明会活動を広げていきたいと考えています。

また,福岡からは,複数の方から,ぜひ,福岡でも説明会をおこなってほしい,という熱望を受けていますので,年内に,一度は説明会をおこないたいと思っています。

東芝事件株主弁護団の発足にあたって(3)

前回まで、アメリカでの、エンロン、ワールドコム、という大企業の粉飾決算による破綻にともなって、アメリカで集団訴訟が起こされた、という話をしました。

日本では、古くは、粉飾決算により発生する損害は

「株式投資なんて、そういうもの」

というように考えられていたフシがあります。

たぶん、バブル崩壊以前には、そういうノリがあったでしょう。

しかし、従来、日本の上場企業の会計が不透明だと主張し続けていたアメリカにおいて、2001年にエンロンのような巨額粉飾決算が発覚し、

「日本のことをいろいろと言ってたけど、アメリカだってダメじゃん」(世界の最大多数の内心)

と言われていた中、アメリカで、いわゆるSOX法が成立しました(2002年)。

正式な名前は「上場企業会計改革および投資家保護法」といいます。 続きを読む 東芝事件株主弁護団の発足にあたって(3)

東芝事件株主弁護団の発足にあたって(2)

アメリカで、2001年エンロンが破綻し、2002年にワールドコムが破綻しました。

たんに業績が悪化した、というだけの破綻ではなく、巨額の粉飾決算をおこなっていたことが発覚しての破綻でした。

粉飾決算の発覚までは、超成長企業、超優良企業ということになっていましたので、株価も非常に高いレベルでした。

そのため、粉飾決算の発覚により、高かった株価は、あっという間に急落しました。

運悪く、エンロン、ワールドコムに投資していた株主は、生きた心地がしなかったでしょう。

粉飾決算が発覚する直前までは、さまざまな投資雑誌で買い推奨されていましたから、個人投資家で買っていた人も多かったのです。

エンロン、ワールドコムが破綻したあと、株主の依頼を受けて、エンロン、ワールドコムの取締役などの関係者、会計事務所などに対する弁護士による集団訴訟が一世を風靡していました。

私も覚えていますが、その当時、Newsweekなどの雑誌には、

「弁護士によるwolf pack(ウルフ・パック)が開始される!」 続きを読む 東芝事件株主弁護団の発足にあたって(2)

質問「説明会は,一度だけなのですか?」 東芝粉飾事件とたたかう弁護団

平成27年9月5日に,初回の説明会を予定しています。

なるべく,多くの方に参加していただければ,と思います。

50人入れる部屋を予約しておりますので,参加人数が少ないと,寂しく思います。

ただ,かりに50人の席が全部埋まったとしても,それで被害者が全部そろったわけではありません。

なにしろ,東芝の株主は,全国に43万人もいるのですから。

ですので,私たち弁護団は,「連続説明会」を考えています。 続きを読む 質問「説明会は,一度だけなのですか?」 東芝粉飾事件とたたかう弁護団

質問「株主代表訴訟とは違うのですか?」東芝粉飾事件とたたかう弁護団

東芝の事件については,お問い合わせをいただく方の知的レベルがとても高いことを感じています。

弁護団としても,大変にありがたいことです。

ですので,よく,「今回の訴訟というのは,株主代表訴訟なんですか?それとも違うのですか?」という,お問い合わせをいただきます。 続きを読む 質問「株主代表訴訟とは違うのですか?」東芝粉飾事件とたたかう弁護団

東芝事件株主弁護団の発足にあたって

私は、弁護団の設立時のメンバーです。

ですので、弁護団の立ち上げには、多少なりとも、私の個人的な思い入れがあります。

なぜ、私が「東芝の粉飾決算事件に、弁護団を立ち上げようと思ったのか」

ということについて、お話をしたいと思います。

もともと、私は、1999年10月に弁護士になったわけですが、その直後、2001年に、アメリカでは、エンロンという巨大企業が粉飾決算の事件を起こして、アメリカの証券市場を大混乱に陥れていました。

そのころ、私は、株式投資を少額ながらもおこなっていましたので、アメリカの証券市場の動きに興味がありました。

日本と違うのは、エンロンが破綻した直後、アメリカでは、各地で、被害者救済のために弁護団が立ち上がり、エンロンに対して、証券被害訴訟を起こしたことです。

日本では、こういう、粉飾決算が明るみに出た場合に、一番被害を受けた株主の被害を回復する弁護団というものは、ときには立ち上がることもあるのですが、大半は、とくに何もなく過ぎ去ってしまっていた、という印象でした。

日本でも、バブル崩壊の直後には、山一證券が巨額の簿外取引が明るみに出て破綻したようなケースで、山一證券の被害株主が、監査法人に対して損害賠償の請求を起こしたケースがあったと記憶しています。

しかし、たしか、私の記憶では、あっさりと株主が敗訴していたと思います。

そのころには、「こんなひどい粉飾でも、株主は救済されないんだなあ。株式投資は、怖いんだ」という印象でした。

ですので、当時の日本の証券市場では、粉飾決算は、上場廃止の原因にはなっても、それと株主の権利とは、無関係のような風潮でした。

そういう日本の証券市場と、海の向こうのアメリカの状況は、全く違いました。

アメリカでの証券訴訟は、一言で言えば、華がありました。

(2)へつづく

 

質問「遠方の場合はどうしたらいいですか?」 東芝粉飾事件とたたかう弁護団

東京,横浜,という,首都圏の方からのお問い合わせも多数いただいています。

「9月5日の

東京,横浜,という,首都圏の方からのお問い合わせも多数いただいています。

「9月5日の東芝粉飾事件に対する被害者説明会は,遠方なので,参加できないが,なにか,資料などを送ってくれないか?」

というお問い合わせをいだたいています。

弁護団も,関西圏の方だけではなく,日本全国の方からの問い合わせにも対応したいと考えています。

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