カテゴリー別アーカイブ: ニュース解説

弁護団が、東芝の粉飾事件に関連するニュースを解説するコーナーです。

「東芝,内部管理体制確認書を東証,名証に提出」とのニュースについて

東芝が,内部管理体制確認書を東京証券取引所などに提出した,という報道がされています。

もともと,東芝は,2015年9月に,不正会計問題により,証券取引所から「特設注意市場銘柄」に指定されていました。

これは,1年間を観察期間として,その観察期間に,内部体制をきちんと建て直せば,上場を維持し,建て直しができなければ上場を廃止する,という手続でした。

特設注意市場銘柄に指定されている間は,言ってみれば「謹慎期間」のようなものです。

特設注意市場銘柄に指定されていると,株式の公募増資などはできませんので,資金繰りが厳しくなってしまいます。

そのため,東芝は,金融機関から,運転資金などのために巨額の借入れをおこなっていました。

しかし,金利負担も厳しいです。

東芝としては,なるべく早く,公募増資をおこなって,金利負担を軽減させたいはずです。

ですので,特設注意市場銘柄の指定の返上は,東芝にとって悲願といえるでしょう。

ただ,もし,東芝が,公募増資をおこないたいと思うのであれば,まずは,株主の信頼を取り戻すために,不正会計によって迷惑をかけた株主の方々に,損害を十分に賠償してからであろう,と思うところです。

 

 

三菱自動車の燃費偽装問題について

三菱自動車が,自社で製造した自動車の燃費を偽装していたことが発覚し,問題となっています。

 

この不祥事によって,三菱自動車の株価は,大きく下落しました。

 

将来の自動車の売上にも,当然,影響があると思われ,三菱自動車は存続できるかどうかの瀬戸際となっています。

 

この三菱自動車の事件ですが,

「株主は会社に対して損害賠償請求ができるのかどうか?」

「東芝の事件と,どう違うのか?」

という質問を,よく受けます。

 

一般の方からみれば,東芝の事件も,三菱自動車の事件も,あまり変わらないように見えるのかもしれません。

そこで,東芝の事件と三菱自動車の事件が,どのように違うのかを考えたいと思います。

 

1 有価証券報告書の虚偽記載なのかどうか

上場企業の不祥事であっても,有価証券報告書について,虚偽があったのかどうか,という点は,非常に大きい違いです。

 

有価証券報告書という書類は,上場企業が金融庁に対して提出し,提出した内容は,即時に公開される書類です。

証券取引所の株価は,有価証券報告書に書かれている業績によって,大きく動きますので,非常に重要な書類です。

 

有価証券報告書にウソを書くと,「金融商品取引法」という法律に違反することになるので,厳しい責任を負うことになります。

「金融商品取引法」というのは,昔は「証券取引法」という名前であった法律です。

 

ですので,有価証券報告書という非常に重要な書類にウソを書いたのかどうかは,大きな違いです。

 

東芝は,過去7年間という長い間,有価証券報告書にウソを書いてきました。

 

一方,三菱自動車は,有価証券報告書にはウソを書いていません。

 

この点は,大きな違いです。

 

なので,東芝は「金融商品取引法」違反ですが,三菱自動車は「金融商品取引法」には違反していない,ということになります。

 

2 役員個人の責任追及ができるかどうか?

東芝は,金融商品取引法に違反する行為がありましたので,有価証券報告書に虚偽の記載をしたときの役員の責任が問題とされています。

 

金融商品取引法では,役員は,有価証券報告書の虚偽について,かなり厳しく責任を負います。

弁護団も,役員の個人責任も,厳しく追及しているところです。

 

一方で,三菱自動車の役員の責任はあるのでしょうか?

 

これは,あるのかもしれません。

 

燃費というのは,自動車を選ぶときに,非常に重要な要素となります。

そういう重要な要素について,役員は,きちんと管理する責任があるでしょう。

 

燃費の偽装を「知っていたのか,知らなかったのか」という点について,役員は,「知らなかった」と言っているようです。

 

しかし,偽装を知っていたのか,知らなかったのか,ではなくて,燃費について,きちんと管理,監督する責任というものが,当然,役員にはあるはずです。

 

ですから,「役員としての管理,監督責任」は,あるようにも思います。

 

ただし,三菱自動車の事件については,金融商品取引法が適用されない(可能性が高い)のです。

 

したがって,もしも,株主が,三菱自動車の役員の責任を追及するのでしたら,役員に,どのような具体的な責任があったのか,ということをひとつひとつ証明していかないといけなくなります。

 

会社内部の資料というものは,通常,会社の中にしかありません。

ですので,外部の株主が,役員の具体的な責任を追及していく,ということは,かなり難しいところではありません。

 

以上をまとめますと,

 

東芝の事件→金融商品取引法があるので,役員個人の責任追及は,わりとやりやすい。

 

三菱自動車の事件→金融商品取引法が適用されない(と思われる)ので,役員個人の責任追及は,けっこう大変

ということになります。

 

年金基金が東芝に損害賠償を求めたことについての考察

報道によれば,年金基金が東芝に対して,損害賠償を請求する裁判を起こした,ということについては,以前にお伝えしたとおりです。

報道によれば,年金基金は東芝に対して119億円を請求しており,さらに,本来であれば200億円請求できるのだ,ということを主張しているとのことです。

報道記事は,こちらから

今回,考えたいのは,

年金基金が東芝に対して裁判を起こしたことが,私たち弁護団にとって,有利なことなのか,不利なことなのか,ということです。

結論としては,弁護団にとっては有利な展開になったと考えています。

1,有利な展開になったと考える理由その1

年金基金 (GPIF)は,年金を運用する団体であり,その運用資産規模は,129兆円とも言われています。

世界最大規模の資産規模をもつ投資団体です。

それだけ巨額の財産を運用しているわけですから,東芝に対して損害賠償を請求するときにも,よりすぐって優秀な弁護士に裁判をまかせることができるはずです。

時給4万円とか,時給6万円の弁護士に裁判をまかせることができるのです。

私たち弁護団の弁護士も,東芝の事件については,世界で最も研究していると自負はしています。

しかし,同時に,世の中には,私たち以外にも,優秀な弁護士も,頭の良い弁護士も大勢いる,ということを知っています。

そのことを考えるならば,世界最大の年金基金が裁判をまかせるような優秀な弁護士が,私たち弁護団と同じ立場で裁判をしてくれる,ということは,大変に心強いことなのです。

もちろん,私たち弁護団の裁判と,年金基金の裁判は,別の裁判ですから,直接に助け合うことはないのですが,年金基金が判決をとったのであれば,それは「判例」という形で世間に公表されることになります。

年金基金が,東芝に対して損害賠償を請求する立場で,有利な判決をとれば,それは,私たち弁護団の事件にも,有利な影響をおよぼしてくることになります。

したがって,年金基金が東芝を訴えたことは,私たち弁護団にとって有利に影響をおよぼしてくると考えています。

2,有利な展開になったと考える理由その2

年金基金は,半分公営の団体ですから,勝ち目のない裁判をおこなうことはありません。

年金基金が裁判をおこなったということは,「この裁判は勝つ見込みが高いと判断したから裁判をおこなった」ということです。

ということは,株主が東芝に対して損害賠償を請求することは,「勝つ見込みが高いですよ」ということを,年金基金が宣言しているのと同じことです。

私たち弁護団は,当初より一貫して,株主が東芝に対して損害賠償を請求することについて,「勝つ見込みが高い」ということを,申し上げてきました。

年金基金も,私たち弁護団と同じ意見を言ってくれている,ということです。

ですので,私たちも,安心して,この裁判をおこなっていくことができます。

時間はかかっても,「勝つ見込みが高い」のですから。

年金基金が東芝に追加の損害賠償訴訟を提起しました。

東芝からのIRによれば,年金基金からの損害賠償請求訴訟が,平成28年8月9日に東京地裁に提起されたそうです。

くわしくはこちら

今回の提訴金額は約119億円だということです。

かなり大型の訴訟です。

また,東芝は,今回,私たち弁護団が起こしたものも含めて,現在,国内で起こされている訴訟を公開しています。

その中の大半は,私たち弁護団の訴訟ですが,他に1名で起こしている方もいるようです。

たとえば,大阪地裁では1名で5600万円を請求している方がいます。

広島地方裁判所福山支部では1名で5700万円を請求している方がいます。

5000万円というような,大きな被害を受けている方の場合には,1名で裁判を起こしても,裁判費用を負担してもいいのかもしれませんね。

いずれにせよ,年金基金のような,公的な機関が,私たちと同じように,株主の権利として損害賠償請求をしてくれているのは,心強いことです。

私たちも,年金基金の訴訟活動に負けないくらいに,立派な訴訟活動をおこなっていきたいと思います。

 

 

 

「独フォルクスワーゲン集団訴訟は米国方式で」ロイター2016年8月9日

ロイター社から,フォルクスワーゲン社の集団訴訟に関する報道がされています。

ドイツのフォルクスワーゲン社は,排ガス規制について不正をおこなっていた,ということで,世界規模での集団訴訟の対象とされています。

フォルクスワーゲン社の本社のあるドイツでは,現在,世界中から170個の訴訟が提起されているとのことです。

170個の訴訟を別々におこなうのは,大変ですので,ドイツの裁判所は
「アメリカ方式の集団訴訟の方式で裁判を進める」
という声明を発表したとのことです。

裁判所は,今回の170個の訴訟の中から,代表となる原告を指名し,その原告と,被告であるフォルクスワーゲン社との訴訟の解決をもって,モデルケースとする,ということを考えているようです。

そうすると,裁判所としても,他の原告としても,真剣に裁判をするのは,代表となるモデルケース一件だけとなり,そのモデルケースの裁判の結果を,他の原告に関する裁判にも適用する,ということになるようです。

なお,ドイツの訴訟法は,アメリカのような「クラス・アクション方式」は認めていません。

ですから,本当にアメリカと同じような,大胆な「クラス・アクション方式」をおこなうことは不可能です。

もっとも,ドイツの現行法の範囲内において,「クラス・アクション方式」の良いところを生かすやり方はできるでしょう。

日本の裁判所も,集団訴訟の審理においては,諸外国の良い点を学んで,簡易・迅速な裁判をおこなっていただければ,と思うところです。

 

 

『東芝 終わりなき危機 「名門」没落の代償』という書籍が発売されました。

「東芝 終わりなき危機「名門」没落の代償」(著 今沢 真)という書籍が,毎日新聞出版社から発売されています。

この書籍の趣旨を一言でいえば,

「東芝は,今でも不正会計の原因となった原子力部門の問題を解決できておらず,社員の関係者に対する懲罰も極めて軽い。経営改革も,形だけととのえたようなものであって,本当に経営改革をしようとする意思に乏しい。これらを考えると,東芝が,これから,本当に再生できるのかは,きわめて疑問である」

ということになります。

私たち東芝事件株主弁護団は,東芝には,株主へのつぐないを十分にしてもらった上で,きちんと再生してほしいという立場です。

ですので,東芝には再生をしてほしいと願っています。

ただ,「再生」をするためには,前非をきちんと悔いて,心を入れ替えるということが必要です。

そのために,東芝は,第三者委員会を開いて,多額の必要をかけて総括をしたはずなのですが,そもそも第三者委員会の追及が「きわめて手ぬるい」ものであり,そういうこともあって,過去の総括は,中途半端なものに終わってしまっているような気がします。

東芝にかぎらず,最近,日本の過去の名門企業が,次々と大きな不祥事を起こし,また,不祥事を隠蔽していたことが明るみに出て,市場から「NO」を突きつけられています。

これは,大きな視点からみれば,日本経済の主役が,過去の「名門」企業から新しい産業,新しいビジネスに転換しようとしていることの,投影なのかもしれません。

「東芝 粉飾の原点」日経BP社

「東芝 粉飾の原点」という書籍が,平成28年7月19日に日経BP社から出版されています。

日経BP社は,東芝,および関連会社の社員さんからの聞き取り調査をおこなっており,その人数は800人を超えるとのことです。

そのような豊富な「肉声」を紹介しながら,東芝の不正会計問題の「原因」を丁寧に掘り起こしていっている本です。

公開情報を,わかりやすく,かみ砕いて説明してくれていますので,東芝事件について,その全貌を理解したいという方にとっては,とても有益な情報源となると思います。

書籍のなかでは,私たちの東芝事件株主弁護団の活動にも,一部,触れてくれている部分があります。

東芝の不正会計事件は,発生から1年以上経過してもなお,世間の話題を呼んでいるようであり,東芝の不正会計事件について解説した書籍は,売れ行き好調のようです。

東芝の集団訴訟も,まだまだ,新しく裁判をおこないたいという方をお待ちしています。

ぜひ,資料請求や,説明会に参加してください。

ニュース解説「東芝の不正会計は「違法」 監視委、異例の見解公表へ」

証券取引等監視委員会が、東芝の不正会計は違法であったという見解を公表する予定であるというニュース報道がありました。

予定通りに、証券取引等監視委員会が、そういう公表をするのであれば、東芝に対して損害賠償請求をおこなっている私たちにとっては、非常な追い風となります。

今回、証券取引等監視委員会が問題視しているのは、西田氏らが関与したとされている

buy-sell取引(バイ セル とりひき)

という取引です。

これは、東芝が、取引先に対して「来年に、この部品を買い戻すから、今年に買ってくれ」という条件で部品を売って、売上をあげる方法です。

たしかに、今期の売上は上がるわけですが、来期には買い戻さないといけませんから、来期には負担が増えることになります。こんな取引は、会社の健全な売上ではありませんから、無意味な取引です。

こういう取引手法は、ずっと以前から、問題の多い取引手法であるということで、企業会計の現場では、まともな売上ではない、と認識されていました。

ですので、証券取引等監視委員会が、今回の東芝の不正会計について「違法」だという判断をすることは、とても常識的な判断だと思います。

弁護団としては、事態を注意して観察しようと思います。

また、証券取引等監視委員会の判断が出ると、西田氏らに対する刑事責任の追及についても、進む可能性があります。

 

東芝粉飾決算「アメリカでの集団訴訟が棄却された」という報道について

東芝の粉飾決算による損害賠償請求について,アメリカのカリフォルニア州で起こされていた集団訴訟が棄却された,という報道がありました。

 

この点について,若干,解説したいと思います。

 

アメリカでの東芝に対する集団訴訟は,いくつかのグループに別れて起こされています。

ひとつのグループは,東芝の「米国預託証券」というものをアメリカで買っていたグループです。

「米国預託証券」は,株式そのものではなく,「株式を銀行が預かっているという証明書」の売買です。

アメリカの証券取引所に外国籍の企業が上場したい場合には,こういう「米国預託証券」制度を使うことが多いのです。

「米国預託証券」を買っているのは,アメリカ国内の個人株主が多いようです。

 

「米国預託証券」は,株式と同様に証券取引所で売買できますから,株式と同じ値動きをします。

ですので,東芝の不正会計問題によって,「米国預託証券」も証券取引所での価値を大きく下げました。

そのため,アメリカ国内の投資家が東芝に対して損害賠償請求を起こしているようです。

 

別のグループは,東京証券取引所で東芝株を買っていたアメリカの投資ファンド系のグループです。

投資ファンドは,数百億円というお金を動かしますので,発行している株式数が多いこと(流動性があること)を必要とします。

先に紹介した「米国預託証券」は,流通している絶対量が少ないため,投資ファンドが投資するには不向きです。

ですので,投資ファンドが東芝に投資したい場合には,アメリカではなく,東京証券取引所で直接東芝の株式を買うことが多いのです。

こちらは,買っていた株は,私たちと同じ東芝の現物株ですが,アメリカで裁判を起こした方が有利であるため,アメリカで裁判を起こしています。

 

「米国預託証券」をアメリカで買っていたグループについて

「米国預託証券」をアメリカで買っていたグループについては,「米国預託証券」を売買していたことについて,アメリカの証券取引法などの適用があるのかどうか,という点が法律上の争点となっていたようです。

(本当にどういう争点であったのかについては,詳しい情報がないため,新聞で報道されているかぎりの事実を前提としていますが)

アメリカの証券取引法は,上場会社の不正に対しては,大変に厳しいため,法律の適用があれば,被害者にとっては有利です。

この点について,今回,「米国預託証券」についてアメリカの証券取引法の適用がない,という判断がされたという報道がされているようです。

ただ,株式そのものではないとしても,アメリカの証券取引所で売買をされていた「米国預託証券」に,証券取引法などの適用がない,というのは,どうも奇妙な結論のようにも思えます。

それだと,「米国預託証券」を買った人が全く保護されないということになります。

そうなると,そんな危険な「米国預託証券」を誰も買わなくなります。

証券取引所としても,そういう結論は困るのではないでしょうか?

この点については,被害者側も,より上級の裁判所に不服の申立をするという話のようですので,引き続き,争いはつづくようです。

報道されているとおりだとすれば,上級審で判断が変更される可能性もありますので,今回の判断が最終的なものでもないだろうと思います。

 

 

東京証券取引所で東芝株を買っていたアメリカの投資ファンド系のグループについて

 

他方で,カリフォルニアの裁判所には,東京証券取引所で東芝株を買っていたグループも集団訴訟を起こしています。

こちらの訴訟の場合には,「東芝に対して,アメリカで裁判を起こすことができるのかどうか」が法律上の争点となっているようです。

今回のように,不正会計をおこなった企業が日本に上場しており,その株式を買った投資家がアメリカに在籍している,という国際的な法律問題には,

日本で裁判を起こすべきなのか,アメリカで裁判を起こすべきなのか,それとも,日本とアメリカの両方で裁判を起こせるのか,という問題が発生します。

 

この領域の法律問題を

国際裁判管轄

といいます。

 

今回の件のような上場している企業の不正会計問題の場合には,

「どこの証券取引所に上場されている株式を買ったのか?」

を基準として国際裁判管轄を決めることが多いようです。

 

通説にしたがえば,東京証券取引所で直接東芝株を買っている場合には,管轄は日本,ということになる可能性があります。

ですので,カリフォルニアで起こしている裁判については,アメリカでは裁判を起こすことはできず,日本で裁判をするべきだ,という結論となる可能性があります。

 

もっとも,国際裁判管轄は,わりと,ルールにあいまいなところがあり,判断もケースバイケースであったりするので,通説どおりにいくともかぎりません。

 

 

日本への影響は?

さて,そういうふうに,アメリカでの東芝に対する集団訴訟には,

  • アメリカの証券取引所に上場されている「米国預託証券」にアメリカの証券取引法が適用されるかどうか
  • 東京証券取引所で東芝株を買っていたアメリカの投資ファンドが,アメリカで裁判を起こせるのかどうか

 

という,日本での集団訴訟にはない,特殊な問題があります。

 

この点,日本での集団訴訟では,

  • みなさんが買ったのは東芝の株式であるため,日本での金融商品取引法が適用されることは当然であること。
  • 日本の事件であるので,日本に国際裁判管轄があることは当然であること

 

ということで,アメリカでの集団訴訟に特有の問題は発生しません。

ですので,今回のアメリカの裁判は,日本の裁判には影響はないと言えます。

日本の裁判には存在しない争点ですので。

「そもそも裁判を起こせるのか」

という争点が存在しない,という点では,今回の集団訴訟は,アメリカで起こすより,日本で起こした方が,裁判としては起こしやすい,ということは言えるでしょうか。

 

ニュース解説「東芝、原発で3000億円損失 米WH資産価値を修正」

東芝が、子会社である、ウエスティングハウス(WH社)について、3000億円程度の減損処理をする可能性があることが報道されています。

一部の報道機関により、昨年である2015年の11月に、以下のことが報道されています。

すなわち、WH社自体が、2012年と2013年に1600億円程度の「のれん代」の減損処理をしていたということです。

東芝は、WH社の株式を80%程度持っており、連結子会社にしています。普通に考えれば、親会社は、子会社において巨額の損失が発生したら、子会社の価値が下がるので、子会社の株式の価値を下げる必要があります。

ですから、東芝は、本来、2012年と2013年に、すぐに、自分が持っているWH社の株式の価値を切り下げる処理(すなわち減損処理)をしないといけなかったのです。

ところが、東芝は、2012年と2013年の時点では減損処理をせず、しかも、2015年11月に減損処理をタイムリーにしなかったことを認めておきながら、2015年11月には減損処理をせず、今まで先延ばしにしてきました。

当時から、減損処理の先延ばしは、きわめて疑問の残る会計処理であると、多くの人が指摘していましたが、問題の発覚から半年もたって、ようやく、減損処理をしたということになります。

今後は、今回の減損処理の中身を十分に確認した上で、不正な会計処理ではなかったかどうか、を検証していかなければなりません。

また、2013年の段階では1600億円の減損だとされていたものが、今回、3000億円にまで膨らんでいるのはなぜか、ということも解明が必要でしょう。

続報が待たれるところです。