最近の報道では,
「東芝が3月末に債務超過となるようだ」
という観測がされています。
たしかに,債務超過となる可能性が高いのですが,ここで,
「債務超過とは倒産するということか?」
という疑問をもっている方がいましたら,
債務超過したからといって倒産するわけではない
ということを申し上げておきたいと思います。
債務超過というのは,あくまで,企業会計上のことです。
東芝がもっている資産(財産)
と
東芝の負債(借金など)
を比較すると,東芝の負債の方が多いという状態が「債務超過」ということです。
ですから,「債務超過」とは「現金が全くない」とか「財産がなくて,すっからかん」ということでは,全くないのです。
現金や預金,短期の売掛金のような,すぐに現金化して使うことのできる資産のことを
「流動資産」
といいます。
東芝は2016年11月時点で公表した2016年第2四半期決算で
流動資産を2兆9607億円持っています。
↓
https://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/library/er/er2016/q2/ter2016q2.pdf
約3兆円くらいの現金預金などをもっているわけです。
3兆円持ってて,すぐにつぶれるような会社はありません。
もちろん,銀行からの借金も数兆円単位なので,財務状況が良い状態では全くないのですが,すぐに倒産するような状態ではありません。
実際,債務超過であっても,東芝は3月も社員に給料を支払う予定ですし,4月にも社員に給料を支払う予定です。
誰も「4月の給料が出ないのではないか?」という心配はしていません。
また,東芝は半導体事業を売却することによって,5月ころには約2兆円程度の現金を取得できる見込みとのことです。
半導体事業を予定どおりに売却できれば,債務超過でもなくなりますから,倒産のおそれも当面はなくなります。
遠い将来はわかりませんが,少なくとも,5月や6月に倒産するようなことはないとはいえるでしょう。