「海外投資家ら、東芝を提訴 不正会計で166億円請求」とのニュース解説

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吉田 泰郎

高松の弁護士吉田泰郎です。東芝事件株主弁護団では、事務局長 兼 広報担当をおこなっています。 吉田の詳しい自己紹介ページはこちら

海外の機関投資家が、東芝の2015年に発覚した不正会計により、166億円の損害が発生した、という主張で、東芝に訴訟を提起したというニュースが報道されています。

東芝のホームページにおいても、海外機関投資家から訴訟を提起されたということが公表されています。

東芝の公表記事はこちらから

今回、訴訟を提起したのは、アリアンツ・グローバル・インベスターズ、という機関投資家を中心として、ドイツとアメリカの投資家45名とのことです。

アリアンツ・グローバル・インベスターズのホームページはこちらから

この機関投資家は、ドイツに本社のある機関投資家のようであり、世界的に見ても、かなり大きい機関投資家です。世界中に拠点があり、日本でも東京に拠点を置いています。

総資産は57兆円、とのことです。

日本の年金基金より総資産が少ないですが、年金基金は公的な資金の運用ですから、同列に比較してはいけないでしょう。

民間の機関投資家で総資産57兆円というのは、世界最大級です。

さて、東芝に対する、投資家からの訴訟が今後、どうなっていくか、ということですが、

弁護士の予想としては、今後も、同規模の訴訟が何件か起こされると思います。

東芝は、日本を代表する総合家電メーカーであり、伝統もあり、国際的にも知名度の高い会社です。

ですので、多くの海外機関投資家が東芝株を買っていた可能性が高いです。

東芝自身が公表している資料によれば、東芝の株主の3分の1は海外の法人だということです。

「海外の法人」の多くは、機関投資家だと考えるべきでしょう。

東芝のような、国際的に知名度が高く、日本を代表するような会社の銘柄というものは、海外の機関投資家から見ると、ファンドに組み入れやすい銘柄なのです。

なぜならば、ファンドの所有者に対して、東芝株を買う、ということを納得させやすいからです。

海外の機関投資家は、こういう不正会計があった場合には、自分の顧客に対して、説明のつく行動をしなければなりません。

これを「スチュワードシップ・コード」といいます。

他人の財産を管理する以上は、財産管理のために最善の行動をしなさい、というルールです。

「最善の行動」といえば、不正会計による損害は賠償してもらうことが「最善の行動」ということになると思います。

少なくとも、泣き寝入りするような機関投資家は、顧客に見放されるでしょう。

そうすると、海外の機関投資家は、積極的に東芝に対して訴訟を提起してくると思います。

どのくらいの規模になるでしょうか?

東芝は、全部で42億株を発行しています。

そのうち3分の1ですから、14億株は、海外の機関投資家が保有していたことになります。

そうすると、もしも、一株あたり100円の損害が発生していたと仮定すると

(2015年5月8日から同年7月21日までの値下がり幅が、だいたい100円くらいです。)

海外の機関投資家は1400億円の損害を受けている、という可能性があります。

そうすると、現在、訴訟を起こしている、海外の機関投資家166億円、というのは、総額の10%程度、ということになります。

そうすると、まだまだ、今後、1000億円以上、海外の機関投資家から訴訟が提起される可能性がある、ということになります。

さいわい、東芝は、最近は、収益構造が改善し、株価も高くなっていますが、不正会計のツケは、まだまだ、全ては支払っていない、ということになりそうです。