年金基金が東芝に損害賠償を求めたことについての考察

The following two tabs change content below.

吉田 泰郎

高松の弁護士吉田泰郎です。東芝事件株主弁護団では、事務局長 兼 広報担当をおこなっています。 吉田の詳しい自己紹介ページはこちら

報道によれば,年金基金が東芝に対して,損害賠償を請求する裁判を起こした,ということについては,以前にお伝えしたとおりです。

報道によれば,年金基金は東芝に対して119億円を請求しており,さらに,本来であれば200億円請求できるのだ,ということを主張しているとのことです。

報道記事は,こちらから

今回,考えたいのは,

年金基金が東芝に対して裁判を起こしたことが,私たち弁護団にとって,有利なことなのか,不利なことなのか,ということです。

結論としては,弁護団にとっては有利な展開になったと考えています。

1,有利な展開になったと考える理由その1

年金基金 (GPIF)は,年金を運用する団体であり,その運用資産規模は,129兆円とも言われています。

世界最大規模の資産規模をもつ投資団体です。

それだけ巨額の財産を運用しているわけですから,東芝に対して損害賠償を請求するときにも,よりすぐって優秀な弁護士に裁判をまかせることができるはずです。

時給4万円とか,時給6万円の弁護士に裁判をまかせることができるのです。

私たち弁護団の弁護士も,東芝の事件については,世界で最も研究していると自負はしています。

しかし,同時に,世の中には,私たち以外にも,優秀な弁護士も,頭の良い弁護士も大勢いる,ということを知っています。

そのことを考えるならば,世界最大の年金基金が裁判をまかせるような優秀な弁護士が,私たち弁護団と同じ立場で裁判をしてくれる,ということは,大変に心強いことなのです。

もちろん,私たち弁護団の裁判と,年金基金の裁判は,別の裁判ですから,直接に助け合うことはないのですが,年金基金が判決をとったのであれば,それは「判例」という形で世間に公表されることになります。

年金基金が,東芝に対して損害賠償を請求する立場で,有利な判決をとれば,それは,私たち弁護団の事件にも,有利な影響をおよぼしてくることになります。

したがって,年金基金が東芝を訴えたことは,私たち弁護団にとって有利に影響をおよぼしてくると考えています。

2,有利な展開になったと考える理由その2

年金基金は,半分公営の団体ですから,勝ち目のない裁判をおこなうことはありません。

年金基金が裁判をおこなったということは,「この裁判は勝つ見込みが高いと判断したから裁判をおこなった」ということです。

ということは,株主が東芝に対して損害賠償を請求することは,「勝つ見込みが高いですよ」ということを,年金基金が宣言しているのと同じことです。

私たち弁護団は,当初より一貫して,株主が東芝に対して損害賠償を請求することについて,「勝つ見込みが高い」ということを,申し上げてきました。

年金基金も,私たち弁護団と同じ意見を言ってくれている,ということです。

ですので,私たちも,安心して,この裁判をおこなっていくことができます。

時間はかかっても,「勝つ見込みが高い」のですから。