「鴻海がシャープ買収へ…6000億円超拠出 最終調整」ニュース解説

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吉田 泰郎

高松の弁護士吉田泰郎です。東芝事件株主弁護団では、事務局長 兼 広報担当をおこなっています。 吉田の詳しい自己紹介ページはこちら

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台湾のメーカーである鴻海(ホンファイ)が、シャープを6000億円から7000億円で買収する交渉が、最終局面となっている、というニュースが報道されています。

この鴻海(ホンファイ)というメーカーは、台湾のメーカーですが、工場の多くは中国本土にあります。

頭は台湾、体は中国本土、という会社です。

鴻海(ホンファイ)は、まるで軍隊みたいな会社であって、工場労働者にとっては、けっこうキツイ労働環境です。

何回も、労働者が労働環境に耐えかねて自殺したりしています。

もっとも、その一方で、どれだけ厳しい労働環境であっても、中国の農村部の労働環境と比較すれば、現金収入があり、希望があるだけ、まだマシだ、と主張する人もいます。

「その証拠に、中国農村部から鴻海(ホンファイ)への就職希望者は、非常に多いではないか」というのが、その論拠のようです。

鴻海(ホンファイ)の経営者は、昔の日本の家電メーカーを非常に尊敬しています。ただ、工場経営のやりかたは、明らかに軍隊的なので、ひょっとしたら、尊敬しているのは、軍国主義の大日本帝国なのかもしれません。

さて、この鴻海(ホンファイ)によるシャープの買収は、東芝事件に、どのような影響があるでしょうか。

ひとつ言えることは、「シャープですら買ってもらえるということは、かりに東芝が経営的にダメになった場合でも、アジアのメーカーが買ってくれるだろう」ということです。

東芝の裁判で一番の問題点は、

「東芝が倒産しないかどうか」

という点です。

しかし、まだ東芝に価値があるかぎり、外国の企業が買ってくれます。

買ってくれるのであれば、東芝は生き残ることができるのです。

そして、東芝が生き残ってくれるのであれば、東芝に対する裁判を続けることができて、損害賠償を支払ってもらえるのです。

そういうわけで、鴻海(ホンファイ)がシャープを買収するというニュースは、東芝の裁判のうえでは、プラスの情報である、ということです。

 

なお、シャープについて述べますと、鴻海(ホンファイ)は、シャープの技術を非常に尊敬しています。

ですので、数年前から、何回も買収話を破談にされても、あきらめずに、粘り強く交渉しているのです。

鴻海(ホンファイ)は、下請け仕事が多いとはいえ、売上規模では、世界最大の機械メーカーのひとつです。

シャープの液晶テレビ・モニターの技術と、鴻海(ホンファイ)の安価な労働力が合体すれば、再び、シャープの技術が、世界に羽ばたくことも可能となります。倒産寸前のシャープにとっては、非常にありがたい救世主だとも言えるのです。

ただ、そうなると、困るのは、他の液晶テレビ・モニターのメーカーです。ジャパンディスプレイなどは、もろに影響を受けます。強大なライバルの出現です。

そのため、日本政府がこの買収話に警戒をしているのでしょう。