吉田 泰郎
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東芝が、子会社である、東芝メディカルを売却しようとしている、という報道がされています。
東芝メディカルという会社は、医療機器の製造販売をおこなっている会社でして、東芝グループのなかでも、将来性のある優秀な会社です。
医療機器の分野は、技術的に難易度が高く、容易には真似できない分野です。
医療機器の分野で伝統的に強いのは、アメリカのGE、ドイツのシーメンス社、という、世界の巨人です。
東芝メディカルは、こういう世界的な巨人にはかないませんが、国内1位世界4位という実績をもち、存在感を発揮しています。
こういう、将来性のある会社を手放して、一方で、問題ばかり起こしている原子力発電所メーカーを手元に置くというのは、長期的な視点では、理解ができません。
ただ、現在の東芝は、不正会計問題の影響で、新株を新規に発行することができないので、銀行借り入れに頼るしかなく、銀行団の意向にしたがっている、とのことです。
そして、銀行団の意向は「売却できるものから売却しろ」という、きわめて、冷酷かつ、短期的な視点での要求だと聞いています。
売却できるものから売却するならば、そりゃあ、将来性のある有望な事業から売れてしまうでしょう。
一方で、経営のお荷物になっているウェスティングハウス社は、「誰も欲しがらないので」東芝の手元を離れられないという、まことに、滑稽なことになっているのです。
さて、そういうわけで、東芝メディカルを手放すことは、長期的には失敗ですが、短期的には、現金が入るので、東芝の資金力が回復します。
今期に計上した、赤字5千億円が、ほぼ帳消しになる、という、4千億円から5千億円の売却金額とのことです。
また、東芝は、東芝メディカル株の全部を売却するわけではなく、数十%は東芝の手元に残すとのことです。
ですから、東芝が、今後も保持する東芝メディカル株は、1千億から2千億円分は、あるのでしょう。
東芝が資金力を回復させるということは、東芝の株主にとっては、望ましいことです。
売却した分を、株主からの損害賠償金額の支払いに充ててほしいと思います。