東芝事件株主弁護団の発足にあたって(3)

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吉田泰郎

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高松の弁護士吉田泰郎です。事務局長 兼 広報担当です。 吉田の詳しい自己紹介ページはこちら
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前回まで、アメリカでの、エンロン、ワールドコム、という大企業の粉飾決算による破綻にともなって、アメリカで集団訴訟が起こされた、という話をしました。

日本では、古くは、粉飾決算により発生する損害は

「株式投資なんて、そういうもの」

というように考えられていたフシがあります。

たぶん、バブル崩壊以前には、そういうノリがあったでしょう。

しかし、従来、日本の上場企業の会計が不透明だと主張し続けていたアメリカにおいて、2001年にエンロンのような巨額粉飾決算が発覚し、

「日本のことをいろいろと言ってたけど、アメリカだってダメじゃん」(世界の最大多数の内心)

と言われていた中、アメリカで、いわゆるSOX法が成立しました(2002年)。

正式な名前は「上場企業会計改革および投資家保護法」といいます。

これは、非常に厳格な法律であり、二度とエンロンのような巨額の不正会計事件を起こさないようにしよう、という、アメリカの決意の表明と言えるでしょう。

アメリカという国家の尊敬するべきところは、大きな社会問題が発生したときに、現実を直視し、自分で考え、自分で解決する、という強い精神があるところだと思います。

もちろん、私は、アメリカという国家が、同時に、とんでもなくおせっかいで、頼まれてもいないのに他の国(含む日本)に改革を要求するような、傲慢な国家であるとも思っています。ですから、単純なアメリカ礼賛はしたくないのですが、ただ、従来の日本の証券市場では

「なに?会社が粉飾してるって?そんなことは誰でも知ってるけど、それを言ったら株主の方が不安に思うから、言ったらダメ。来期の利益で帳尻合わせるから問題ないでしょ!」

とでも言わんばかりの実務慣行であったことを考えると、現実を直視できるアメリカという国と、現実を見ても見ないふりをする日本という国の違いを感じざるを得ませんでした。

そして、アメリカという国の、アメリカらしいところは、SOX法を、アメリカだけではなく、他の国にも押し付けたことでした(笑)。アメリカが他の国に制度を押し付けることを、「グローバル化」と言うらしいです。

それを受けて日本で2006年6月に成立したのが、旧証券法に代わる「金融商品取引法」でした。当初は「日本版SOX法」という、身も蓋もない名前で呼ばれていました。

導入の当初は、「強欲なアメリカの経営者と異なり、日本の経営者は精神性が高いから、そんな法律はいらない」という議論を、いろんな新聞、雑誌、ウェブで見たような気がしますが、山一證券、カネボウ、日興証券、IHI、フタバ産業、オリンパス、などなど、日本を代表するような大手企業で、巨額の粉飾決算があったことを考えれば、

「アメリカ人だろうが、日本人だろうが、やるときは、やる」

と思います。「日本版SOX法」は、たしかにアメリカの押し付けでしたが、たしかに、日本に必要な法律でもありました。